関連知識
1.併給調整
同じ傷病で2ヶ所から同時に年金等が支給される場合は、支給されないか、
または、一部のみの支給になります。
➀傷病手当金と障害年金
傷病手当金は、傷病ため会社を休んで4日目から1年6ヶ月支給(通算で)されます。
また障害年金は、初診日から1年6ヶ月を経過した日を障害認定日として障害認定日の属する月の翌月から支給されます。
一般的には、支給期間が重ならないので併給調整はされませんが有給休暇の取得により、傷病手当金の支給開始が遅くなった場合は、障害年金の支給時期と重なるので併給調整されます。
※「障害認定日の属する月の翌月」とは
障害認定日が6月10日ならば翌月は7月となります。
➁障害補償年金(労災)と障害年金
同一傷病でも障害補償年金(労災)と障害年金は同時期に重ねて受給できますが、全額補填されるのは二重の補填が行われることになり不合理と言えます。
そこで、事業主の労災保険料負担を考慮し、例えば、障害補償年金と障害厚生年金を受給した場合は、障害補償年金は73%に減額されます。
2.障害認定日の特例
障害認定日は、初診日から1年6ヶ月を経過した日が原則ですが、傷病によっては、1年6ヶ月前に症状固定(これ以上治療を継続しても治療効果が得られない)の場合は、障害認定日の特例として障害認定基準に定められています。
➀脳血管障害による身体の機能障害 6ヶ月経過日以後の症状固定日
※脳血管障害による高次脳機能障害は、原則通り1年6ヶ月となります。
➁心臓ペースメーカー 装着日
➂人工関節 施術の行われた日
➃人工透析療法 療法開始から3ヶ月を経過した日
3.初診日が証明できない場合
病院は、法律で診療録(カルテ)の保存期間は5年と定められています。
従って5年を経過すると初診日証明(受診状況等証明書)が取得できなくなり、障害年金の請求が困難になります。5年の保存期間ですが、精神科の病院では、障害年金の請求に備えて、10年以上保存している病院もあります。
初診日の診療録がないと、絶対に請求ができないわけではありません。
年金機構に「受診状況等証明書が添付できない申立書」を提出し初診日証明に代わる参考資料を添付します。
(参考資料)
➀お薬手帳・診察券・病院の領収書
②事業所等の健康診断の記録
➂身体障害者手帳申請時の診断書
➃交通事故証明書
➄生命保険・損害保険の給付申請時の診断書

